ディープモンスターの思い出 日本ダービー編

ディープモンスター 日本ダービー編

ダービー出走に立ちはだかる壁

〇恐怖と不安

ディープモンスターは、残念ながら皐月賞は惨敗してしまったが、ダービー出走に向けて調整していくこととなった。と思われたが、ここで一つの不安が訪れる。

収得賞金は足りるのか?

ダービー出走の枠は18頭。このうち優先出走権は

・皐月賞:1~5着

・青葉賞:1~2着

・プリンシパルS:1着

の計8頭となる。残り10頭が収得賞金上位順で出走可能となるが、ディープモンスターの収得賞金は2,100万円だが、皐月賞(4/18)が終わった状況での収得賞金の上位は以下となっていた。

  • 1.ダノンザキッド 5,500万
  • 2.サトノレイナス 4,300万
  • 3.ヴィクティファルス 3,850万
  • 4.ラーゴム 2,900万
  • 5.シャフリヤール 2,300万
  • 5.グラティアス 2,300万
  • 7.ディープモンスター 2,100万
  • ?.グレートマジシャン 1,650万

この時点ではディープモンスターは7番目であったが、NHKマイルC組、京都新聞杯組、兵庫チャンピオンシップ組などのうち、4頭以上出走されてしまうと、ディープモンスターは出走できない可能性があった。

確かに、これはマズい!

恐らく出走はできると思われるが、何と言っても日本中のホースマン達が目標とする最高峰の日本ダービーだけに、出走出来なくなってしまう可能性は確かに考えられた。筆者の頭に不安が過ぎっていたが、それ以上に池江先生とDMMバヌーシー陣営の方が不安を感じていたようであった。

〇京都新聞杯への参戦!

2021/4/23 陣営側は奇策に出た。なんと次走は5/8の京都新聞杯(G2) 中京芝2,200mに出走し、収得賞金を加算してダービーに臨むことにしたのである。ご存じのとおり、皐月賞⇒京都新聞杯⇒ダービーのローテとなると、中2週&中2週でダービーに出走しなければならなくなる。

確かに京都新聞杯で2着までに入着できれば、収得賞金を加算でき、文句無くダービーに出走できる。しかし、中2週×2のローテは過酷すぎる。タニノギムレットのように、その後に故障で引退ともなりかねない。第一、ディープモンスターは万全な状態で2戦とも走れるのか? 無理がある。

しかし、ここで池江先生から凄みあるコメントが出る。

ダービーはやはり特別。どのローテーションであろうと全力で取り組みます。それがプロフェッショナルです。

さらに、武豊騎手からも凄みあるコメントが出る。

出走できるかギリギリかもしれないが、今回はこの馬と心中したい。出られない可能性があることも承知で、ダービーはディープモンスターに乗せてほしい。

おいおい、あのレジェンドがここまで言うというのか。っていうか、ダービーは武豊騎手が乗ってくれるのか!

武豊騎手は骨折か治り、5/1から騎乗ができるようになっていた。ただ、ダービーはヨーホーレイクに乗るものだと思い込んでいた。この2人の大物が、もはやここまで言うのであれば、「京都新聞杯頑張って下さい!!」 と筆者もこの方針に賛同することにした。

〇やはり京都新聞杯は・・・

この大物2人であれば、京都新聞杯は乗り越えられる! そう思われていたが、現実は甘くなかった。皐月賞後の2週間、調教は行われているようであったが、早い時計が出せていない。やはり、ディープモンスターは完調では無かったのである。

レース週の調教だけでも時計が出せるようで無いと・・・がっ、ダメ!!

ディープモンスターは京都新聞杯の週まで、早い追切が出来ていなかったのである。しかし、5/5 池江先生の重大な決断を下すコメントが出た。

ここを使うとダービーに120%では行けないという判断になりました。ダービーに直行して、出られなければ菊花賞を最大目標に切り替えます。

これは英断である。実はこの時、青葉賞2着のキングストンボーイはダービー出走回避が決まっていて、NHKマイルC組もダービーに出走する雰囲気では無かった。そして何より、ダービーまで中2週+中3週のインターバルとなることで、少し余裕を持って臨むことができる。

とは言え、収得賞金で出走除外となる可能性もゼロでは無いので、あとは祈るだけとなった。

ダービー出走確定!!

〇出走登録馬

2021/5/16 NHKマイルC、京都新聞杯、プリンシパルSも前週に終わっており、ダービーの出走登録馬が公開された。この時点ではNHKマイルC組はバスラットレオン、京都新聞杯組はレッドジェネシス、プリンシパルS組はバジオウの3頭がダービーへの出走表明しており、ディープモンスターは収得賞金上位10頭以内であることが分かっていた。

そして、出走登録馬を見ると、登録馬は18頭であり、収得賞金1,650万円のグレートマジシャンも、ちゃっかり出走出来る状態であった。とにかく、ディープモンスターの念願のダービーへの出走が確定したのであった。

〇ダノンザキッドの戦線離脱

2021/5/21 ダノンザキッドの骨折が発覚する。2歳王者の戦線離脱なだけにショックではあったが、これでダービーは17頭の戦いとなった。

競馬レースの頂点、日本ダービーへの挑戦!

ダービーに向けて

〇調教追切

京都新聞杯を回避出来たことで、だいぶ調子が取り戻せていた。1週前調教追切では

5/20 栗CW 稍 81.7 67.0 52.1 38.1 11.7 強め トーセンアランの内1.2秒追走クビ差遅れ

と、皐月賞の時ほどでは無いが、だいぶ早い時計が出せるようになっていた。万全かどうかは疑問なところではあるが、ダービーの方が距離とコースがディープモンスターに向いていると思われるので、期待が高まった。

第6戦 日本ダービー始まる!

〇レース当日

2021/5/30 ついに日本ダービーの日がやって来た。今年はいままでとは違う。何と言っても、自分が出資した馬が、あの日本ダービーに出走してしまうのである。長年、競馬を見てきて、一番感動的な日となった。

ディープモンスターは3枠5番。なんと、父ディープインパクトのダービーの時と同じ馬番なのである。武豊騎手池江調教師、そしてディープインパクトまで加わるとなると、天からディープインパクトの力が召喚されて、乗り移ってしまってもおかしくない。これはすべての条件が備わった瞬間なのであった。

〇そして伝説へ・・・?

無事に全頭ゲートに入り、ついにゲートが開かれた。

ディープモンスターは後方13,14番手を追走、相変わらずの後方待機であった。こんなに後方では、あのエフフォーリアには届かない。そう思っていたが、3コーナー手前で動きがあった。

なんと、3コーナー手前で、すでに先頭集団に追いついているではないか!?

ディープモンスターは父ディープインパクト以上のロングスパートを行っていたのである。ついに必殺ディープ捲りを習得した瞬間であった。さらに、ロングスパートをかましていたのはディープモンスターだけでは無く、盟友アドマイヤハダルも先導して一緒に上がっていく。ハダル、お前もか。よし、分かった!

さすが、我が盟友。共にエフフォーリアを討伐しようではないか!

ここに、エリカ賞最強コンビが結束されたのであった。

そして、4角を過ぎ、直線に入った。だが、ディープモンスターはアドマイヤハダルと共に直線に入って間もなくのところでズルズルと後退していき、テレビ画面から消えていく。そう、必殺ディープ捲りなんか習得していなかったのである。

皆がエフフォーリアとシャフリヤールのゴール前の接戦に目を追いやる中、筆者は画面に映らない最後方の2頭を、ただ最後まで見つめていたのであった。

こうして、ディープモンスターは結果16着、アドマイヤハダルは17着という無惨な結果で終わったのであった。

〇ダービーを終えて

ディープモンスターの3歳春は終わった。しかし、クラシックは秋の菊花賞が残っている。ダービーは敗北してしまったが、この大きな経験は必ず今後に活きることと思われる。ゆえに、秋に備えてゆっくり力を蓄えて成長していって欲しいと願う。

現在、北海道の吉澤ステーブルに放牧中であるが、ダービーでの消耗が大きく、まだ調子が戻ってはいないらしい。だが、いつか無事に帰ってきてくれると信じて、温かく見守ることにしよう。

ディープモンスターの本当の戦いはこれからである。第一部、完!!